戦後76回目の6月23日、今年も沖縄の大事な1日『慰霊の日』を迎えた。
未だ終息の見えないコロナ禍の状況下とは言え、追悼式の参加者がたった30名という異例中の異例さ。
もちろん首相や高官の参列も無し、ビデオメッセージという無機質なものだった。
あいにくの雨ということもあり、自分も自宅にて黙祷を捧げたのだけど、
正午の時報を確認しようとテレビを点けるが、民放はどこも未だオリンピック開催がどうだこうだと議論している。まぁ、民放だし沖縄戦よりスポンサー事情だよな。と割り切る。
しかしだ、まさかのNHKさえ中継を行っていない。
よくよく調べると、サブチャンネルにて放送するという。
は?なんだそれ?
今年の全国のアンケート調査によると、日本人の75%以上が『慰霊の日』を知らないと答えたらしい。
これはもう、国あげての策略なんじゃないかとすら勘ぐってしまう。
メディアでも取り上げない、学校でも教えてない、そうなってくると『知らない』ことは当然になるし、歴史教科書問題にしても、沖縄戦における日本軍の沖縄人虐殺の歴史をもみ消そうとしてるんじゃないかとさえ思えてしまう。
広島の原爆はどうか、戦争の惨さを比較するようで大変不謹慎かとは思うけど、広島の8月6日の正午に追悼中継を行なわなかったらどうか?ありえるか? それはアメリカが起こした残虐な無差別殺人だから被爆国として貫くのか。
なぜ沖縄も同じように扱わない。
アンケート調査の結果では、沖縄戦を知っているという人の中では『誰かしら知り合いから沖縄戦のことを聞いて知っている』という割合が高かったという。
もちろん教育として習うのか、それとも知り合いから感情も込めて聞かされたのかでは全然違う。
また、実際に自分の目で見て何かを感じた方がはるかに記憶に残ることも当然だ。
ただ、現在のようなコロナの状況では修学旅行だって平和観光だって厳しい。
だからと言って素通りしていい問題じゃない。ましてやメディアが外していい内容じゃない。
沖縄では、このコロナ禍の状況も考慮してだと思うが、慰霊の日にテレビの3時間枠で『あゝひめゆりの塔』の映画を特別放送した。
自分も観たし、この機会に、と観たウチナーンチュはすごく多かったと思う。
戦後20年ほどしか経っていない時代に、これだけの内容の戦争映画を作ってくれたことに感謝だ。(1953年に制作された「ひめゆりの塔」もあるようだ)
もちろん50年ほど前の映画なので、現在の制作技術と比べると見劣りしてしまう部分やリアリティにしても年代を感じてしまう部分はある。
それを差し引いてもすごく素晴らしい作品だと思える。
ぜひリメイクしてもらいたい、近年の技術でもっと圧倒的にリアリティを追求し、それをしっかり平和学習に活用してもらいたい。
戦争体験者は年々減少してしまう、あと10年もすれば体験記憶のある方々の生存はごく少数となってくる。
その前に、聞き取り調査が行える今こそ、ぜひ今後に残せるコンテンツを数多く制作していってほしい。自分もそこに関わっていきたい。
まずは、皆さんにも映画『あゝひめゆりの塔』をご覧になってもらいたい。
そして何かを感じてもらいたい。
そう思った今年の慰霊の日でした。
E.KEMURA
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