嘉数の比屋良川渓谷には、相当古い墓群が連なる。
崖にできた窪みを利用して穴を掘り、遺骨や蔵骨器をその空間に納める形状の墓である。
割と手付かずの渓谷には、この形の古墓がまだ各地に多く残っている。
嘉数の小禄墓もその一つだが、空洞の出入り口を石積みで塞ぎ容易に中には入れない形状になっている。
この墓の中には輝緑岩で造られた厨子甕が安置されており、厨子甕には『弘治七年おろく大やくもい六月吉日』と記されている。
弘治七年とは西暦1494であり、尚真王時代である。
この銘書きは、ひらがなで書かれた琉球最古級のものと確認されており、『大やくもい』とは『親雲上』、すなわち『ペーチン(階級)』であり、おろくに関わる高い役職にあった者ということが分かる。
しかし位階しか書かれていないため、一体誰の石厨子なのか、何故ここにこのような立派な、立派過ぎる石厨子が安置されているのか。それはまだ分かっていない。
この時代に、高貴な輝緑岩(中国原産)で造られた石厨子が確認できているのはなんと、浦添ようどれ、玉陵、伊是名玉陵、そしてここ小禄墓だけなのだ!
小禄墓をのぞけば全て王族の墓、王族だからこその最高級な輝緑岩の石厨子ということになる。ということは?
小禄墓も同様レベルの人物の墓ではないかと考えた場合、比屋良川の上に住んでいた察度を、彼の地元の地に葬ったということは十分に考えられるのではないだろうか。
香炉の側には対の石獅子もあり、これも王族レベルの墓ということを裏付ける。
ぜひ現地を訪れ、その空気感に触れてみてください。
小禄墓:県指定有形文化財場所
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E.KEMURA
代表 : 株式会社 琉球Press
沖縄県内で、外国人向けのフリーペーパー Japan Update の運営を経て、現在は沖縄英字ウェブマガジン Okinawanderer の発行、国際交流プログラム開催、および外国人向けライフスタイルサイト Okistyle を運営する(株)琉球プレスの代表。日々外国人と民間業者との接点を作り出すコーディネーター、コンサルタントとしても絶賛驀進中! 2018年より毎週火曜日午後7時台エフエム沖縄『Share TIME』にボス・イケムラとしても沖縄の隠れた魅力を発信中!
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